医薬保健学総合研究科
内科系医学領域
放射線科学

金沢大学大学院 医薬保健学総合研究科 内科系医学領域

放射線科学

Training life研修医・専攻医の一日

放射線診断科での一日

08:15-

モーニングカンファレンス

毎日始業前の時間帯に、放射線診断科内で約1時間程度のカンファレンスを実施しています。
通常カンファレンスや他科との合同カンファレンスが始まる前には、若手の先生方を中心に、あらかじめ準備しておいたプレゼンテーションスライドも使いながら相談症例や重要症例の提示を行い、諸先輩方の意見を交えつつ皆で研鑽します。時には時間外に来た症例を当直医とともに相談する事もあります。
BSL(Bed Side Learning)やクリニカルクラークシップ(診療参加型臨床実習)で当科に回ってくる医学類学生(BSLは5年生、クリクラは6年生)も同席しています。

1週間のカンファレンス

月曜日 IVRカンファレンス(1週間分のIVR予定症例の検討)
火曜日 通常カンファレンス
水曜日 呼吸器カンファレンス(呼吸器外科/内科と合同)
木曜日 消化器カンファレンス(消化器内科と合同)
金曜日 通常カンファレンス

09:00-

通常業務 IVR(画像下治療)

モーニングカンファレンスが終わったら、それぞれの医師は午前中の持ち場に向かいます。

放射線診断科では、大きく分けて5つの部署「読影室」「CT室」「MRI室」「超音波室(午前のみ)」「IVR(Interventional Radiology、画像下治療)」に分かれており、事前に勤務表で配置が伝達されます。また大学院生には別途「研究日」が与えられます。

この日のT先生の午前中の部署は「IVR(画像下治療、以下IVR)」です。

金沢大学放射線科で取り扱うIVR手技はバリエーションに富んでおり、毎回違う手技になることも珍しくありません。実際の実施状況は診療案内のIVR(画像下治療)を御覧下さい。
自身のコマ(チーム)に予定されている症例は必ず全例予習をしてから望むように指導しています。それに伴って、毎週月曜日のIVRカンファレンスも若手の先生を中心に症例提示を行うようにしています。
また、基本的な手技(穿刺やカテーテル操作、血管撮影など)に挑む際にも上級医と共に、加えてIVR専門医の監督・指導の下に行なっています。特に専攻医の先生には外部の病院に赴任した後でも臆することなく質の高いIVR手技ができる(または手伝える)様に、可能な限り若手の先生の実践を心がけています(研修医の先生でも希望があれば、十分な予習/予備知識の条件下に症例によっては実践をお認めします)。 当日の緊急症例(血管止血術やドレナージなど)に際してもチームの一員として参加します。

Tully’s Coffee/セレクトサンド シュリンプチキン&エッグとロイヤルミルクティーです!

12:00-

お昼休憩

検査やIVR手技の進捗状況に応じて時間が押してしまう事がほとんどですが、基本的にはお昼休みの時間としています。
金沢大学附属病院の売店では、曜日毎に金沢の人気店からのバリエーションに富んだ各種弁当を販売しています。職員食堂の他に、院内に「Tully’s Coffee」や「コメダ珈琲店」が入っており、患者様やお付き添い/お見舞いの方の他に病院職員からも好評です。

13:00-

通常業務 MRI室

しっかり英気を養って、いざ午後の部へ。この日のT先生の午後の部署は「MRI室」です。

読影室、CT室、MRI室に配置された場合、通常は各種モダリティ(CR、CT、MRI)の検査画像を読影端末で読影し、画像診断報告書(通称レポート)を記載します。いわゆる通常の読影業務です。この過程を通じて基本的な技術を学び、同時に知識としての診断学を学ぶことになります。
当院では研修医、専攻医ともに「放射線診断専門医」の資格を得るまでは原則として全例で診断専門医によるダブルチェックを経た上で、画像診断報告書を電子カルテに送信しています。
修正履歴も確認できますので、業務が一通り終わった後、自身の書いたレポートをフィードバックして修正された箇所を中心に復習することができます。
また専攻医の先生は徐々に研修医の指導にも当たるようになります。

当院では一部例外を除いた全てのCT、および全てのMRI検査を原則として放射線科医師の指示の元で撮影を行なっています。したがって撮影指示の入力も大事な役割です。指示一つで検査結果が大きく左右される、実は読影以上に重要な仕事と言っても過言ではありません。
MRI検査は撮影方法が非常に多岐にわたり、得られる情報も豊富ですが、撮れば撮るほど一例あたりの撮影時間が長くなってしまうので、なんでもかんでも撮ればいいわけではありません。過密検査は進捗状況にも影響してしまいます。

17:00-

業務終了後

検査、IVRが終わったらまずは一段落ですが、ここから時間をどう使うかが実力の伸ばしどころです。 残っている検査の読影、IVRレポートの記載や病棟への安静解除診察、検査指示入力といった業務もこなしますが、今日の症例の見直し、追跡している症例のチェック、モーニングカンファレンスの準備などなど、自己研鑽にはすごく貴重な時間帯です。

卒業3年目(専攻医1年目)の若手医師には、腹部放射線診断学を体系的に学習できる世界的名著である、Morton A. Meyersの著書「Dynamic Radiology of the Abdomen: Normal and Pathologic Anatomy」の抄読会を、伝統的に代々行なっております。発生学的・解剖学的なアプローチから得られた知識が、実際のCT画像にどのように反映されるかを理解すると共に、国際化の潮流に乗り遅れないように早い段階から英文に向き合っていきます。現在は教授自ら音頭を取って下さっています。この抄読会は進路に関係なく行います。

1週間のカンファレンス

月曜日 乳腺カンファレンス(1回/月)
骨軟部カンファレンス(1回/月)
中枢神経カンファレンス(1回/月)
火曜日 呼吸器カンファレンス(1回/月)
水曜日 肝胆膵カンファレンス(1回/月)
泌尿器科カンファレンス(1回/月)
木曜日 放射線科カンファレンス(毎週)
産婦人科カンファレンス(1回/月)

19:00-

放射線科カンファレンス(毎週木曜日)

毎週木曜日の夜7時からは、放射線診断科の部内カンファレンスが行われます。この日が外勤だった先生も可能な限り参集します。関連病院への非常勤勤務などでいずれの曜日にも不在者がいる関係上、このカンファレンスが診断科の先生が最も集いやすい時間になります。
ここでは、主に若手医師・学生向けの内容が主体の「モーニングカンファレンス」よりも更に高度/難解な症例の提示・相談や結果報告、上級医師から若手医師への挑戦状(フィルムリーディング)、研修医の先生の研修成果発表、学会・研究会の発表に備えた予演会といった、よりコアな内容で、しかしフランクな雰囲気でカンファレンスを行なっています。
また、各研究の進捗状況などを確認するリサーチミーティングや、外部の先生や医療メーカーの方を招いて最新の技術/知見を学ぶ勉強会を行なう事もあります。

放射線治療科での一日

08:00-

モーニングカンファレンス

放射線治療科においても、始業前の時間帯に部内カンファレンスを実施しています。
その日の新患や治療計画の症例提示を行い、治療方針を決めていきます。

08:30-

通常業務 新患の診察

モーニングカンファレンスが終わり次第、午前中の業務を始めていきます。

午前中は新患の診察がメインです。
放射線治療専門医と、専攻医を含めた非専門医の2人ペアとなって、放射線治療外来にて患者様に対して治療の流れと副作用の説明を行います。はじめて放射線治療を受けられる患者様も多いため、説明はゆっくり時間を取って行います。放射線治療の必要性があり、患者様の同意を頂ければ、放射線治療の日程を決定し、治療の準備をすすめていくことになります。
また、泌尿器科と連携して実施している前立腺癌に対する小線源治療や、産婦人科と連携して実施している子宮頸癌に対する小線源治療は、それぞれの科との連携上、特定の曜日で実施しています。

12:30-

お昼休憩

往々にして外来や午前中の治療により時間が押すことがほとんどですが、治療科も診断科と同様にお昼休みを設定しています。
しっかりお昼ごはんを食べて、午後の部に備えます!

13:30-

通常業務 患者様の治療計画

午後からは自分が担当している患者様の治療計画を行います。

一般的に放射線治療で用いられる線量は、診断の為に使われる検査(CTやレントゲン、X線透視など)と比べて非常に大きく、同じ照射範囲への再照射は通常避けなければなりません。さらに強度変調放射線治療(IMRT)や強度変調回転放射線治療(VMAT)といった高精度照射法の普及に伴い、正常組織の線量を可能な限り小さくし、がん病巣へ集中して照射することが求められるので、緻密な治療計画を立てる必要があります。

治療計画は、まずコンツール(輪郭取り)という作業を行います。治療のターゲットとなる腫瘍やリスク臓器(危険臓器とも言い、放射線照射から守る必要がある臓器のこと)を、マウスを使って輪郭を描いていきます。一見、単純な作業に見えますが、放射線診断科でCTやMRIの画像を見慣れていないと、正常臓器と病変の境界を把握することもままなりません。画像診断は放射線治療の基礎でもあります。
その後、放射線照射のプランニングを行います。ターゲットに対して放射線を照射する範囲や方向・方法を検討し、ビームと線量を入力し、検証の上、治療計画を完成させます。
専攻医の先生にも一連の作業を実際にチャレンジしてもらい、専門医や放射線技師との検証作業にも加わっています。

17:00-

業務終了後

無論、ここから時間をどう使うかが実力の伸ばしどころなのも診断科と同じです。
残っている治療計画/検証の他、気になる患者の状況を電子カルテやPACSで追跡・確認や計画のフィードバックをしたり、翌日の新規患者の予習・カルテ診も欠かせません。
卒業3年目(専攻医1年目)の若手医師は、診断側の紹介に記載している抄読会にも参加しています。

毎週水曜日の業務終了後に、放射線治療医や放射線技師、看護師と合同でカンファレンスを実施しています。
主に現在放射線治療を実施している患者全員のレビュー、および新規患者に対する治療計画の確認を行います。
必要に応じて、学会・研究会の発表に備えた予演会や、外部の先生や医療メーカーの方を招いて最新の技術/知見を学ぶ勉強会も行なっています。
また、他科のカンファレンスでも治療方針などについて相談を受ける機会は多く、参加要請に応じて随時参加しています。

先輩からのメッセージ

ここに掲載できたのは、日々活発に診療を行っている金沢大学附属病院放射線診断科/放射線治療科のそれぞれほんの一部にすぎません。 非常にたくさんの症例を抱える大学病院ですので、常に新しい発見の連続です。

少しでも興味を持っていただけましたら、遠慮なく研修に来て下さい。
お気軽にホームページのお問い合わせフォームより御連絡下さい。
真摯な医師を目指し奮闘する研修医や医学生の期待を裏切らない様に、我々も努力しながらお待ちしております。