金沢大学大学院医薬保健学総合研究科 内科系医学領域放射線科学

Department of Radiology, Kanazawa University Graduate School of Medical Sciences

研究

研究

画像診断

1.肝の画像診断に関する研究

当科では1980年代後半に血管造影検査にCTを取り入れ、経動脈性門脈造影下CT(CT during arterial portography:CTAP)を開発しました。CTAP、肝動脈造影下CT(CT during hepatic arteriography:CTHA)による血流解析および病理学的な対比により、肝腫瘤性病変の悪性度診断の確立などに貢献してきました。現在も従来の血流画像に加え、機能画像であるGd-EOB-DTPA造影MRI(EOB-MRI)の所見を解析し、病態を解明する研究を行っています。

EOB-MRI解析

  • EOB-MRI肝細胞相の信号強度が肝細胞癌におけるβ-cateninや転写因子hepatocyte nuclear factor (HNF) 4αの発現といった分子・遺伝子的背景を反映する可能性を示しました。
    <Kitao A, et al. Radiology 2015;275:708-17.>
    <北尾 梓, 他.第22回肝血流動態・機能イメージ研究会.板井悠二賞受賞>
  • EOB-MRI肝細胞相における肝細胞癌周囲の高信号rimは過形成変化に起因することを明らかにしました。
    <米田憲秀, 他. 第20回肝血流動態・機能イメージ研究会.板井悠二賞受賞>
  • 良性肝腫瘍・腫瘍類似病変の肝細胞膜トランスポーター発現を中心とした分子病理学的背景を明らかにし、EOB-MRIがこれらの鑑別に有用であることを示しました。
    <Yoneda N, et al. Radiographics 2016 in press.>
    <Yoneda N, et al. 101th Radiological Society of North America. Magna Cum Laude受賞>
  • 通常硬変肝に発生しないとされるNRHが、EOB-MRIでは硬変肝にも5%の頻度で出現すること、悪性転化(多血化)がないことを示しました。
    <小坂一斗, 他. 第19回肝血流動態・機能イメージ研究会.板井悠二賞受賞>
    <Kozaka K, et al. The 15th Asian Oceanian Congress of Radiology 2014. Bronze award受賞>
  • 化学療法関連Sinusoidal obstruction syndromeの肝細胞膜トランスポーター発現を評価し、EOB-MRI肝細胞相がその診断に有用であることを報告しました。
    <Yoneda N, et al. Abdom Imaging. 2015 Oct;40(8):3099-103.>
    <米田憲秀, 他. 第28回日本腹部放射線学会 打田賞受賞>
  • EOB-MRIを施行した444例を対象にChild-Pughスコアと肝臓へのEOB取り込みの程度に有意な相関関係があることを明らかにしました。
  • EOB-MRIの肝病変検出における利点と欠点についてまとめ、撮像法の最適化について考察しました。
    <Kobayashi S, et al. 100th Radiological Society of North America. Certificate of Merit受賞>

現在進行中の研究

  • ヒトの肝細胞癌におけるEOB-MRIの造影機序解析や個別化診断研究のための実験モデルとして、マウス肝癌モデルを作成し組織像とEOB-MRI所見の対比を行っています。
  • 肝細胞癌の有用な画像バイオマーカーの確立を目指し、dynamic CTやEOB-MRIなどの各種画像と分子・遺伝子発現、臨床像、病理組織像との相関について検討しています。
  • EOB-MRI画像の撮像条件の最適化を目指し、動脈相における息止めと画質の関係の検討、80分後の超遅延相画像の適応と腫瘤描出能の改善程度の検討を行っています。

血流画像解析

  • 各種肝腫瘤の腫瘤/非腫瘤境界部における組織像と血管造影下CTでの血流解析を行い、境界部の微細な血流変化が肝腫瘤の鑑別に有用であることを示しました。<Kozaka K, et al. 100th Radiological Society of North America. Certificate of Merit受賞>
  • 肝内動脈と肝外動脈との微小な交通枝であるisolated arteriesについて解析し、肝腫瘍の血管内治療における重要性を示しました。
    <Yoshida K, et al. 101th Radiological Society of North America. Certificate of Merit受賞>

現在進行中の研究

  • 肝細胞癌の血管内治療への応用を目指し、腫瘍内あるいは腫瘍周囲の血管構築、血管調整機構の基礎研究を行っています。

多施設共同臨床研究

  • EOB-MRIのどのシークエンスの組み合わせが肝細胞癌の診断に有用であるかを後方視的に検討する試験に参加しています。
  • 大腸癌・胃癌・膵癌患者を対象とし、造影CTで肝転移を検出できない症例を後方視的に解析し、EOB-MRI追加施行による新たな肝転移の検出頻度を明らかにする試験に参加しています。

2.胆道・膵の画像診断に関する研究



外科・内科・病理・放射線科による合同カンファレンスでの詳細な症例検討を元に、膵管癌の早期診断や進展度評価法について報告してきました。近年注目されている膵内分泌腫瘍や粘液産生性腫瘍などの画像解析にも力を入れています。また膵胆道疾患の画像診断のガイドラインや規約の作成にも携わっています。

膵疾患

  • 急性膵炎診療ガイドラインの画像診断領域の作成に関与しました。
  • フサン動注療法の有用性を検討する医師主導型多施設共同研究「重症急性膵炎に対するFUT-200膵局所動注療法の有効性と安全性に関する多施設共同ランダム化比較第Ⅱ相試験」における中央読影判定に参加しました。
  • 日本膵臓学会の膵癌取り扱い規約(第7版)の画像診断の項目の改定に関与しました。
  • 膵癌カンファランスで検討を重ねた症例をまとめた”画像と病理の対比から学ぶ 膵癌診療アトラス”を出版しました。
  • 膵神経内分泌腫瘍の画像と病理所見の対比により、組織学的悪性度G1-G3を予測する画像所見を明らかにしました。
  • 膵腺扁平上皮癌と浸潤性膵管癌のCT・MRI所見を比較し、病理学的成因について検討しました。
    <Toshima F, et al. Abdom Radiol (NY).2016 Mar;41(3):508-20.>
    <戸島史仁, 他. 第28回日本腹部放射線学会 打田賞受賞>

現在進行中の研究

  • 急性膵炎の重症度判定に用いられる、周囲の液体貯留と壊死物質貯留との鑑別に有用なCT・MRI所見を検討しています。
  • 膵管癌のIVIM(intravoxel incoherent motion:灌流成分と拡散成分に分けて定量化できる手法)による分化度診断、予後予測の可能性について検討を行っています。
  • 神経内分泌腫瘍と膵管癌の画像による鑑別点について検討しています。

胆道疾患

  • 急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドラインの画像診断の項目の作成に関与しました。
  • 膵臓の粘液産生性腫瘍のカウンターパートとして注目されている粘液産生性胆道腫瘍(intraductal papillary neoplasm of bile duct: IPNB)の画像所見のまとめを報告しました。
  • 肝内胆管癌はFDG-PET/CTで高集積を示すのに対し、末梢小型胆管由来の胆管癌ではFDG集積が弱いことを明らかにしました。

現在進行中の研究

  • 次世代シークエンサーを用いた肝内胆管癌の亜分類を行い、これに応じたイメージバイオマーカーの確立を目指しています。
  • IPNBと通常の乳頭型胆管癌の画像所見の特徴を明らかにし、両者の鑑別点を検討しています。

3.慢性炎症性疾患、リンパ増殖性疾患の画像診断に関する研究

IgG4関連疾患は全身のあらゆる臓器に発生する全身性炎症性疾患であり、血清IgG4値が高値でPSL治療が奏効するといった特徴が知られています。当科からはこれまで病理組織像との詳細な対比による肺病変、動脈周囲病変、神経周囲病変の画像所見について報告してきました。現在も画像所見の解析を進めることにより、この疾患の病態の解明に取り組んでいます。

  • IgG4関連疾患235症例の臨床データの特徴(罹患臓器分布、再発の有無、悪性腫瘍等の合併)を解析しました。
    <Inoue D, et al. Medicine (Baltimore). 2015 Apr;94(15):e680.>
  • IgG4関連疾患の各臓器の病理像とCT、MRI、FDG-PET等の画像所見を対比し、その特徴を明らかにしました。
  • IgG4関連疾患の後腹膜線維症とされてきた病変の殆どが動脈、次いで腎盂尿管を主座としており、後腹膜自体に病変形成をすることは稀であることを明らかにしました。
    <井上 大, 他. 第74回日本医学放射線学会総会 Gold medal受賞>

現在進行中の研究

  • 画像による自己免疫性膵炎と膵癌との鑑別について、さらに肝腫瘤性病変、胆管病変、涙腺/顎下腺病変の画像所見の解析を行っています。

4.グラビティMRIを使用した画像生理学の研究

グラビティMRIを使用した画像生理学の研究

MRIは広く臨床応用され、当科でも腹部MRIを中心に様々な研究を行ってきました。また本学保健学類と共同でMRIの基礎的研究も行っています。
2016年より保健学類宮地利明教授らのグループがが開発した、任意体位保持が可能なMRI「グラビティMRI」を使用し、同教授および小林 聡教授の指導の下研究を行っております。

現在進行中の研究

立位、座位時の腹部臓器形態や循環等の生理機能を客観的に観察することで、重力の及ぼす影響を解析しています。

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