Specialist programプログラム内容
専攻医研修の流れ
日本専門医機構認定専門医
卒後臨床研修
放射線科の仕事とは?
放射線科の仕事は、画像診断、Interventional Radiology(IVR:画像診断技術を応用した治療)および放射線治療に大きく分けられます。
進路に迷ってる方へ
患者さんにとって最善の医療を行うためには、放射線診療は必要不可欠な領域です。
他の診療科を考えている方、まだ進路を決めかねている方も、放射線科での研修を是非考えてみてください。どの診療科に進むにしても、放射線診療の基礎を習得しておけば将来必ず役に立つはずです。
放射線科医を目指す皆さんへ
放射線科専門コース(専門領域重点プログラム)の選択をお勧めします。必修分野以外の研修期間を選択研修として放射線科で研修することが可能です。放射線科の基礎的能力を身に付け、専門研修への移行をスムースに行うことができます。放射線科専門コースを希望される方や検討される方は、放射線科担当者までご連絡ください。
もちろん他のプログラムから放射線科専門研修に進むことも可能です。
放射線科専門コース
(専門領域重点プログラム)の流れ
放射線科専門コース(専門領域重点プログラム)の一例 ※研修月はおおよその目安
放射線科専門コース
(内科系専門プログラム)の流れ
I専門領域重点プログラム |
すでに目指す診療科を決定している方、地域枠で診療活動に当たる方を対象とし、基本的な診療能力を身に付けるとともに、将来目指す診療科の医師としての基礎的能力を身に付けるプログラムです。 |
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Ⅱ小児科・産婦人科重点プログラム |
将来小児科または産婦人科医を目指す方を対象とし、本院と中核型臨床研修病院を中心に2年間の研修を行い、基本的な診療能力を身に付けるとともに、将来目指す診療科の医師としての基礎的能力を身に付けるプログラムです。 |
Ⅲ地域医療連携実践プログラム |
本院と中核協力型臨床研修病院(たすきがけ病院)で12ヶ月ずつ研修するプログラムです。 |
研修内容
01.まずは画像診断業務全般の研修
主に画像診断業務全般を研修してもらいます。単純X線写真、CT、MRIの基本的な読影ができるようになることが一つの目標です。当科ではまず研修医が書いた読影レポートを専門医がチェックし、指導する体制をとっています。2人の専門医が主に指導を担当しますが、指導医以外の専門医もレポートを確認・指導します。読影はレポーティングシステムで行っており、自分が読影した症例以外にも膨大な量の画像とレポートに目を通すことができます。自分の将来の診療科や興味がある分野を中心に症例を検索し、学習してください。またCT室、MRI室、読影室に日替わりで配属になりますので、実際の検査の進め方、造影の方法なども習得してください。
研修期間の最後には、研修の成果を症例提示形式で発表してもらいます。
02.IVR、放射線治療を
中心とした
研修をすることもできます
希望によりIVR、放射線治療を中心とした研修をすることも可能です。IVRでは検査・治療に参加し、適応、手技、治療成績および合併症の知識と動脈穿刺および初歩的なカテーテル操作等の基本的技能の習得を目指します。放射線治療では、治療計画の立案と実際の治療に参加し、代表的な疾患に対する治療体系と各疾患に対する適切な放射線治療法について理解を深めます。
03.カンファレンス
毎朝8時15分から9時まで画像カンファレンスを行い、CT、MRI、IVRの症例を中心に臨床症例の検討をしています。月曜日はIVRカンファレンスとして1週間の予定症例の術前検討を行っています。また、毎週木曜日の18時30分~20時にはリサーチカンファレンスとして症例報告や研究発表を行っています。これらのカンファレンスは多くの症例の画像を見て、診断を考え、解説を聞くだけではなく、プレゼンテーション能力を磨く機会でもあり、医師として重要なスキルアップの場となっています。
また、他科との合同カンファレンスも、領域毎に毎週1回(呼吸器:水曜朝、消化器:木曜朝)または毎月1回(肝胆膵、泌尿器、産婦人科、呼吸器、骨軟部腫瘍、関節、乳腺、中枢神経)開催しています。ここでは画像と手術および病理所見の対比や診断や治療方針の検討を行っています。このような各科とのカンファレンスを通じて、読影能力の向上を目指すとともに、緊密な連携を維持しています。当科研修の際は是非参加してください。
専門研修(基本領域研修)
放射線科領域医学系
臨床講座について
金沢大学には2つの放射線科領域医学系臨床講座(「放射線科学」および「核医学」)が存在します。
放射線科専門研修は両講座合同の単一研修カリキュラムのもとに行い、放射線科の全領域をくまなく研修します。
したがって、専門医資格を取得するまでは、どちらの教室に入局しても同様の研修を受けることになります。
放射線科学 教授 小林 聡
附属病院 放射線科
- 画像診断(CT、MRI、超音波、単純X線写真)
- 血管造影・IVR
附属病院 放射線治療科
- 放射線治療
核医学 教授 絹谷 清剛
両講座合同の専門研修体制
- 専門研修プログラム統括責任者
金沢大学放射線科学 教授
小林 聡
- 副専門研修プログラム統括責任者
金沢大学核医学 教授/金沢大学附属病院 核医学診療科長
絹谷 清剛
- 専門研修指導責任者
金沢大学放射線科学 准教授/金沢大学附属病院 放射線治療科長
高松 繁行
専門研修施設について
基幹施設および連携施設は、全て日本医学放射線学会認定 総合修練機関・修練機関です。機構認定専門研修制度が開始されてから、PET検査研修を行う関連施設として、金沢先進医学センターおよびとやまPET画像診断センターも参加しています。
北陸3県のほとんどの中核病院が参加しており、この地域の放射線診療を支えている研修施設群です。これらの施設でローテート研修を行い、多数の優秀な研修指導医のもと、北陸全域の豊富な症例を経験することができます。
基幹施設 (学会認定総合修練機関) |
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連携施設 (学会認定総合修練機関) |
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連携施設 (学会認定修練機関) |
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関連施設 |
研修内容
研修には以下の3コースが設定されています。どのコースに進むかは希望を聞いた上、相談で決定します。研修期間中であっても、研修の進捗状況などを勘案して柔軟に対応しますが、複数施設でのローテート研修は必須です。
研修期間は3年間以上です。専門研修プログラムにより研修を開始した日をもって研修開始日とします。
専攻医1年目 | 専攻医2年目 | 専攻医3年目 | |
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Aコース | 基幹施設 | 連携施設A | 連携施設B |
Bコース | 連携施設A | 連携施設B | 基幹施設 |
Cコース | 基幹施設(大学院・臨床) | 連携施設(大学院・臨床) | 基幹施設(大学院・臨床) |
Aコース
専門研修基幹施設から研修を開始する最も基本的なコースです。基幹施設で専門的知識、技能のほか、医師としての倫理性・社会性および学問的姿勢などを学んだ後、連携施設で研修を行います。基礎・臨床研究を体験できる体制が整っている基幹施設ではリサーチマインドも滋養します。各施設は原則として1年ごとに異動しますが、諸事情により1 年未満での異動や2 年間同一施設での研修を行うこともあります。
- 〈例〉
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- 金沢大学附属病院(基幹施設:総合修練機関)で12 ヶ月間各領域を均等に研修
- 市立砺波総合病院(連携施設:修練機関)で12 ヶ月間各領域を均等に研修
- 福井県済生会病院(連携施設:総合修練機関)で12 ヶ月間各領域を均等に研修
Bコース
専門研修連携施設から研修を開始するコースです。専門研修連携施設で臨床医としての実地研修に重点をおき、3年目に基幹施設で研修を行います。専門研修連携施設は原則として1年ごとに異動しますが、諸事情により1 年未満での異動や2 年間同一施設での研修を行うこともあります。
Cコース
専門医取得と博士号取得を同時に目指すコースです。大学院に進学し、専門研修基幹施設の金沢大学附属病院ならびに専門研修連携施設で、臨床現場での研修と臨床系研究および講義を両立しながら博士号取得を目指します。
各施設では定時まで臨床研修を行い、それ以降に大学院で博士号取得のための研究、講義出席、論文執筆などを行います。金沢大学附属病院での研修中は、一定の研究時間も割り当てられます。サブスペシャリティ領域の研修も、学位が取得できるまで同様の状況が持続します。
研修モデル
研修スケジュール
基幹施設での研修の一例です。志望領域や研修の進捗状況等により予定は柔軟に変更されます。
指導医の監督下に日常診療の読影や検査・治療にあたり知識と技能を習得するOn The Job Trainingを中心に研修を進めます。金沢大学附属病院ではCT 150件/日、MRI 55件/日、核医学検査 20件/日程度の検査を行い、血管造影・IVRは年間1,000件程度で循環器および脳血管を除くあらゆる血管系・非血管系IVR(悪性腫瘍に対する動脈塞栓術・動注化学療法・動注リザーバー留置術・ラジオ波凝固療法などのImage guided cancer therapy、動脈瘤などの塞栓術、血管形成術、大動脈ステントグラフト内挿術、外傷・術後出血・産褥出血などの止血術、B-RTO・PTOなどの門脈圧亢進症に対するIVR、CTガイド下生検、胆道ドレナージ・ステント留置術、膿瘍ドレナージ術など)を行います。放射線治療患者数は500人/年を超え、IMRTも積極的に行っています。核医学治療は放射性ヨウ素による甲状腺癌の治療、全身の骨転移(メタストロン注®)や悪性リンパ腫(ゼヴァリン®)の内照射治療のほか、先進医療Bとして悪性褐色細胞腫・傍神経節腫に対するI-131メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)治療を実施しています。
カンファレンスでは他科医師も交えた検討でより深い知識や識見を習得することができます。基本的には自由参加ですが、積極的に参加することをお勧めします。
学会発表、論文発表なども積極的に行ってもらい、リサーチマインドを養成します。また、日常診療や講習会など通じて医師としての倫理性を涵養します。
すべての専攻医は、機構認定の専門研修カリキュラム・研修手帳にしたがって研修の実施と評価を行います。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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朝 | IVR症例検討会 | 画像診断症例検討会 | 呼吸器症例検討会 | 消化器症例検討会 | 画像診断症例検討会 |
午前 | 超音波 | 単純X線写真・CT・MRI | MRI | CT | 消化管X線検査 (連携施設) |
午後 | 核医学 | 血管造影・IVR | 放射線治療 | 単純X線写真・CT・MRI | 血管造影・IVR (連携施設) |
夕 | 乳腺カンファレンス(1回/月)・骨軟部カンファレンス(1回/月)・中枢神経カンファレンス(1回/月)・英語カンファレンス(2回/月) | 呼吸器カンファレンス(1回/月)・関節カンファレンス(1回/月) | 放射線治療カンファレンス(毎週)・肝胆膵カンファレンス(1回/月)・泌尿器科カンファレンス(1回/月) | 放射線科カンファレンス(毎週)・産婦人科カンファレンス(1回/月)・核医学カンファレンス(1回/月) |
研修症例数(モデルコースでの一例)
放射線科専門研修カリキュラムガイドラインに基づき経験すべき症例数(目標症例数)が定められています。モデルコース経験症例数は、一例として連携施設群でAコースのローテート研修を行っている医師の経験症例数を示します。
北陸3県の中核病院でローテート研修を行うため、偏りがなく豊富な症例を経験することができます。
項目 | 目標症例数 | モデルコース 経験症例数 |
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X線単純撮影 | 400 | 4,620 |
CT | 600 | 8,990 |
MRI | 300 | 3,080 |
超音波検査 | 120 | 1,055 |
消化管X線検査 | 60 | 90 |
核医学検査 | 50 | 750 |
IVR | 30 | 166 |
放射線治療 | 30 | 85 |
モデルコース(Aコース)の一例
- 1年目
- 基幹施設(金沢大学附属病院)
- 2年目
- 連携施設(市立砺波総合病院)
- 3年目
- 連携施設(福井済生会病院)
専門研修(サブスペシャルティ領域研修)
放射線科のサブスペシャルティ領域専門医とは?
放射線科のサブスペシャルティ領域の専門医には、「放射線診断専門医」と「放射線治療専門医」の2つがあります。「放射線診断専門医」は画像診断(核医学を含む)およびIVRについて、「放射線治療専門医」は放射線治療について高度な専門性を有する専門医であり、何れか一方の資格のみ取得可能です。
これらの専門医を取得することにより、診療報酬上の加算の算定が可能になるなど一人前の専門医として活躍できようになるので、放射線科医として臨床の現場に従事する方は必ず取得する必要があります。
サブスペシャルティ領域研修の位置づけ
日本専門医機構認定の専門医制度では、「基本領域」の専門研修とその終了後に行うことができる更に専門分化した「サブスペシャルティ領域」の研修といった二階建て制の認定制度が予定されています。放射線科専門医制度は、従来、日本医学放射線学会認定により二階建て制で運用されてきましたが、機構認定の制度に移行してもこのシステムが維持される予定です。つまり、「基本領域研修」を修了して「放射線科専門医」を取得した後、二階部分の「サブスペシャリティ領域専門研修」を行い、「放射線診断専門医」もしくは「放射線治療専門医」の取得を目指すことになります。
しかし、現在のところ放射線科領域のサブスペシャリティ領域専門研修については機構未承認の状態です。このため、基本領域の放射線科専門研修は機構認定制度で、サブスペシャルティ領域の放射線診断専門研修および放射線治療専門研修は学会認定制度で運用されています。
研修施設
学会認定総合修練機関 |
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学会認定修練機関 |
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研修方法および内容
放射線科専門医資格取得後、学会認定の総合修練機関または修練機関で認定された研修指導医のもと2年間以上の研修を行う必要があります。当施設では基本領域研修に引き続き学会認定研修施設でローテート研修を行っていますが、将来希望する専門領域を相談した上で研修施設を決定していますので、「放射線科専門医」資格取得後は継続的に「放射線診断専門医」あるいは「放射線治療専門医」の専門研修を行う事ができます。また、臨床系大学院に進学し、専門医取得と博士号取得を同時に目指すコースも備えております。
研修は学会が規定する「放射線科専門医研修ガイドライン」に沿って行い、その実績と達成度は学会の「専門医研修記録簿」により評価します。基本領域専門研修と同様に選択領域のOn The Job Trainingが中心となりますが、当然、その要求レベルは高度なものになります。学会発表や論文発表などもより積極的に行ってもらいます。
研修コース
代表的な研修コースを示しますが、将来希望する専門領域なども考慮して柔軟に対応しています。
専攻医の受け入れ
「放射線診断専門医」もしくは「放射線治療専門医」の取得を目指しており、基本領域研修(放射線科専門研修)を修了して「放射線科専門医」を取得あるいは取得見込みの医師が対象となります。
金沢大学附属病院放射線科専門研修プログラムでの基本領域研修から継続してサブスペシャルティ領域研修を行う専攻医のほか、他プログラムで基本領域研修を行った専攻医の受け入れも行っています。